朝5時起きに値する試合ってある。

この試合は、たぶんなかった。

その日が少し良くなったのは、リーズ中心部で昼12時ごろに寿司を買ったあたりからだった。

別に神寿司ではない。

サーモンの握りが2貫。マグロの握りが2貫。巻き寿司が少し。あと毎回名前を忘れるやつがいくつか。

サーモンは普通に良かった。マグロは違った。薄い。ちょっと残念。利益率に異常な情熱を燃やした誰かがサプライチェーンのどこかにいたんじゃないかと思うレベルだった。

試合が終わる頃には、そのマグロが妙に見覚えのある存在に思えてきた。

スフィーダのシュートみたいに。

存在はしている。

一応は。

でも決定的な何かが足りなかった。

美作と「景色で勝つ」という才能

景色勝負なら岡山の完勝だったじゃん。

美作ラグビー・サッカー場は山と緑に囲まれている。おかげで多くのプロスタジアムが、サッカー用に無理やり改装された巨大倉庫みたいに見えてしまう。

チアリーダーがいた。

花束贈呈があった。

塩谷瑠奈はリーグ100試合出場を祝福された。

南山千明には引退を前に花束が贈られた。

数分間だけだったけど、サッカーというより地域のお祭りみたいな空気だった。たまたまそこにサッカーがあっただけ、そんな感じ。

5-0の亡霊

この試合には、どうしても無視できない背景があった。

第3節でスフィーダは岡山を5-0で破っている。

辛勝ではない。

僅差でもない。

5。

0。

ロッカールームに長く残るタイプのスコアだ。

和田達也監督も、あの敗戦以降チームにスフィーダへの苦手意識が生まれていたと認めていた。

だから今回の答えはシンプルだった。

同じ失敗を繰り返さないこと。

前回の岡山は後方から繋ごうとして、何度もスフィーダのプレスに引っかかった。

今回はまったく違った。

よりダイレクト。

よりフィジカル。

美しさへの興味は少なめ。

勝利への興味はかなり大きめ。

悪くなかった立ち上がり

厄介なのは、スフィーダの入り自体は悪くなかったことだ。

最初の20分はむしろ良かった。

ボールを握った。

セットプレーも取った。

ほとんどの時間を岡山陣内で過ごしていた。途中で「岡山って攻撃する気あるのかな?」と思ったほどだった。

その感想は見事に外れることになる。

なぜなら、ポゼッションと支配は同じじゃないからだ。

スフィーダが持っていたのは前者。岡山が持っていたのは後者だった。

上野理佐と磁石理論

前半の途中から、あるパターンが見え始めた。

スフィーダのまともな攻撃は、全部同じ終わり方をしていた。

クロス。上野。

ヘディング。上野。

シュート。上野。

上野理佐は本当に素晴らしかった。クリーンシート達成の投稿に思わず返信したくらいだ。

冷静。

ポジショニング完璧。

何が来ても余裕。

途中から本気で思い始めた。ボールとグローブの中に磁石入ってない?って。

もちろん科学的には色々問題があるのは認める。

試合を傾けたゴール

均衡が破れたのは26分だった。

塩谷の賢い動き出しが守備陣を引きつける。

今野仁美にスペースが生まれる。

そしてゴール。

岡山が1-0と先制した。

あのゴールは入った瞬間から大きかった。スフィーダが悪かったからじゃない。

むしろ30分近く少し上回っていた。それでもほとんど脅威を与えられていなかったからだ。

その問題は最後まで続いた。

ボールは持つ。

でも傷は与えられない。

昼に食べたマグロの握りみたいに。

給水タイムと企業サッカー

前半途中、個人的にかなり好きな瞬間があった。

給水タイムだ。

気温は27度前後。

選手たちは水を飲む。

コーチが少し話す。

みんなピッチに戻る。

終了。

最近のワールドカップと比べてみてほしい。

あっちの給水タイムは、だんだん株主総会みたいになってきている。テレビカメラが寄ってくる。スポンサー露出が入る。

解説者が「暑いと人は水を飲む」という概念を説明する。

監督は戦術TEDトークを始める。

まるで人類が最近ようやく水分補給を発明したかのような空気になる。美作では30秒くらいで終わった。

選手たちは喉が渇いていた。水を飲んだ。もう渇いていない。サッカーが続いた。革命的じゃん。

渡邊那奈の戦い

この午後のスフィーダを象徴する選手を一人挙げるなら、たぶん渡邊那奈だった。

彼女はずっと戦っていた。

デュエルに勝つ。

ボールを奪い返す。

なんとかチームを保とうとする。

71分、南山千明と接触した。

悪意はない。

ただのサッカー。

立ち上がった。

プレーを続けた。

でも明らかに動きは苦しそうだった。

その3分後、岡山が攻めた。

沖田歩夢が前へ抜け出す。スペースが開く。フィニッシュが決まる。

2-0。試合はほぼ終わった。

怒ってはいない。ただ、がっかりしている

フラストレーションが残るのは、明確な悪役がいなかったからだ。

致命的なミスはない。

審判陰謀論もない。

誰か一人が完全に崩れたわけでもない。

スフィーダはただ、いつもの基準を下回っていた。

チームとして。

岡山は勝利に値した。

チームとして。

サッカーだから負ける日がある。

これはそういう日だった。

それでも、世田谷から岡山の山あいまで長い旅をして、最後までゴール裏に姿を見せ続けたスフィーダサポーターには拍手を送りたい。

最後に

勝点3は岡山へ。

スフィーダには疑問が残った。

3月の5-0は、もうずいぶん昔の話に感じる。

リターンマッチは完全にBelleのものだった。

こちらとしては、朝からチームが決定機を作れず苦しむのを見て、磁力で動いている疑惑のGKを目撃して、最後に思った。今日一番満足度の高かった攻撃は、リーズ中心部で買った少し割高な寿司ボックスだったのかもしれない。

Tuna

ただし、その寿司は今年の初めに博多駅で食べた最高の寿司にはまったく届かなかった。上の写真がそれだ。

サーモンは仕事をした。

マグロはしなかった。

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