まずは、謝罪から。
先週末のスフィーダ世田谷対日体大SMG横浜、本当ならレビューを書く予定だった。
ないです。
土曜の夜、予定よりだいぶ遅くまで外にいてしまった。で、日曜になってみたら、3-2の敗戦について数百ワード書くという作業が、どうにも魅力的に見えなくなっていた。
ジャーナリズムには、時として犠牲が必要だ。
時として、犠牲になるのがジャーナリズムそのものだったりする。
まあ、それはさておき。
スフィーダは3-2で負けた。
Doragon Sportsの歴史からひっそり消える試合をひとつ選ぶなら、これ以上の候補もなかなかないかもしれない。順位で下にいる相手に49分までで3失点。その後は反撃して、ただの完敗ではなく「なんか余計に腹立つ負け」に仕上げた。
面白くなってきたと思った瞬間にこれ
その1週間前、スフィーダはラブリッジ名古屋とのアウェーゲームに臨んでいた。
なでしこリーグ1部でもトップクラスのチーム。
そこで2-0。
ギリギリ逃げ切ったわけじゃない。
猛攻に耐え続けて、コーナーから偶然ゴールが転がり込んだわけでもない。
普通に、2-0で勝った。
内田美鈴がまた決めた。守備陣も踏ん張った。そして19歳のGK大塚美緒が、「もしかして何か始まってる?」と思わせるようなパフォーマンスを見せた。
あの勝利で、シーズンの空気がちょっと変わった。
もちろん、今から優勝争いに飛び込むわけじゃない。でも、最後をいい形で終えることはできるかもしれない。苦しかった夏を抜けて、ここから少し勢いを作れるかもしれない。ゴールを重ねて、「来季につながりそうじゃん」と思える何かを残せるかもしれない。
で、日体大に3点取られた。
サッカーって、こっちがちょっと安心した瞬間を見つけるの、本当にうまい。
これでスフィーダはリーグ戦直近5試合で4敗。湯郷ベルに0-2、ニッパツ横浜FCシーガルズに0-3、伊賀FCくノ一三重に1-2。その間に名古屋で突然の2-0勝利。そして日体大に2-3。
5得点、10失点。
名古屋戦が「何かの始まり」だったというより、テレビシリーズの途中に間違った神回を1話だけ差し込んじゃった感じになってきた。
でも、勝ったのは事実。
そこは忘れたくない。
次の相手:リーグ最下位
朗報。
次の相手は、最下位のVONDS市原FCレディース。
最高。
何も心配することはない。
……ただし、VONDSは3連勝中。
もちろん、そうなるよね。
1部初挑戦となった今季、VONDSは開幕から14連敗した。
14。
第15節を迎えた時点で勝点0、得失点差-33。普通ならそろそろ全員がこっそりレギュレーションを確認して、「で、数学的に降格が決まるのっていつ?」と計算を始める頃だ。
ところが。
突然、負けなくなった。
まず優勝争い中のラブリッジ名古屋に乗り込み、0-0。続いて日体大を2-1で撃破。さらに愛媛へ行って2-0。
そして直近は、3位オルカ鴨川FCを迎えた千葉ダービー。
これも2-0で勝った。
開幕14試合で勝点0だったチームが、その後の4試合で勝点10。
しかも3試合連続クリーンシート。
非常に困る。
数カ月間、VONDSは最下位で静かにしていた。誰にも迷惑をかけず、昇格1年目のチームらしく、立派なまでに苦しんでいた。
それが今や、メカゴジラ。
ゴジラじゃない。そこは重要。自然発生した怪獣じゃないからだ。14連敗の残骸から組み上げられ、突然電源が入り、もう安全だと思っていた相手を千葉で踏み潰し始めた機械獣。
3連勝。
3試合連続無失点。
なんで今なの?
順位表、ちょっと嫌な感じになってきた
土曜日、スフィーダはZAオリプリスタジアムへ向かう。
18試合を終えて勝点19、10位。
VONDSは勝点10で、まだ最下位。
その間にいるのが勝点13の日体大。そう、ついさっきスフィーダを倒した日体大。そしてVONDS復活劇の最初の犠牲者でもある。
9ポイント差。
まだ十分なクッションに見える。
たぶん、そう。
でも順位表ってそういうものなんだよね。下のチームが負け続けている間は大きく見える差も、向こうが勝ち始めて、こっちが勝てなくなると急に近くなる。
土曜日にスフィーダが負ければ、その差は6。
そうなるとVONDSはもう「最下位で突然元気になった面白いチーム」ではない。
いる。
すぐ後ろに。
上ばかり見ていると、こうなる。数週間前までは、スフィーダにも中位のもう少し居心地のいい場所へ上がれる可能性があった。
今はたまに後ろも確認したほうがいい。
そして、ここで土曜日の試合に妙な心理戦が生まれる。
VONDSには、ほとんど失うものがない。
スフィーダは、勝つべき試合。
この2つの文章、並べると全然安心できない。
このカード、前にもやってます
幸い、参考材料はある。
両チームは5月に味の素フィールド西が丘で対戦し、スフィーダが2-0で勝っている。
実に普通だった。
問題は、その頃のVONDSがもういないっぽいこと。
今のVONDSは、かなり崩しにくくなっている。守備ではコンパクトな陣形を作り、5-4-1にも見える形でスペースを消す。ボールを奪えばウイングバックが一気に前へ出る。
GK山田一花は連続クリーンシート中。キャプテン村上かりいと小堀奈央を中心に、何カ月も失点を重ねていた守備が、急にしぶとくなった。
特にウイングバックの増原遥は危険。愛媛戦、オルカ戦と連続でゴールを決めている。桜庭琴乃も最近の攻撃改善の中心にいる。
つまりスフィーダが今回対戦するのは、5月に倒したVONDSではない。
少なくとも、同じ姿ではない。
今の彼女たちには、戦術だけでは説明しきれないものがある。
自信だ。
14試合、どうやっても勝てなかった。
今はたぶん、誰かが「ちなみに負けてもルール違反ではないですよ」と教えてあげる必要がある。
そして、千葉には行ったことがある
日本に住んでいた頃、たまに千葉へ行っていた。
なぜ?
東京ディズニーランドは千葉にある。そんなに遠くない。
成田空港も千葉にある。「東京」って付いてそうな顔をしてるけど、ちゃんと千葉だ。しかも、そんなに遠くない。
サマーソニックも千葉。
そこで何度か、海外バンドがステージから「Evening, Tokyo!」と叫んだ時に訂正したことがある。だいたいイギリスかアメリカのバンドだった。
周りでは笑った人もいれば、「お前、ボーカルにそれ言うの?」みたいな顔をした人もいた。
ただし、絶対に休日は千葉ロッテマリーンズを応援してそうだった警備員のお兄さんだけは爆笑していた。
で、何が言いたいのか。
千葉は遠くない。
スフィーダ、ホームゲームくらいの気持ちで行こう。
勝浦タンタンメンに浸かるくらい千葉を感じてほしい。
いや、実際には浸からないでください。温泉ならまだしも、あれは辛いし、個人的には全然おすすめしない。
とにかく、千葉を怖がる必要はない。
あともうひとつ。
昔、千葉のジョナサンに入ったことがある。
ものすごく効率的だった。
注文して30秒くらいで料理が来た。
以上です。
内田、堀江、そしてかなり分かりやすい解決策
明るい材料もある。
スフィーダには、リーグ屈指の得点力を持つFWが2人いる。
内田はリーグ13得点で、1部得点ランキング首位タイ。
堀江は8得点。
2人で21ゴール。
堀江は敗れた日体大戦でもゴールを決めているし、今季最初のVONDS戦でも決めた。内田は名古屋戦でゴール。そして最近は、普通に決めるだけじゃ物足りなくなったのか、伊賀戦でバイシクルまで叩き込んだ。
難しいアウェーゲームを前にして、リーグ21得点のFWコンビがいる。
もっと深刻な悩みはいくらでもある。
問題は、その後ろ。
スフィーダは18試合で32失点している。
前からのプレスがハマった時は素晴らしい。名古屋がそれを知っている。でも最初のプレッシャーを外されると、最終ラインの背後にスペースが生まれる。
その瞬間、急に全部が怖くなる。
VONDSは、そのスペースを使うためにボールを支配する必要なんてない。
むしろ、したくないはず。
コンパクトに守る。
スフィーダにボールを持たせる。
待つ。
スペースが開いたら刺す。
シンプル。
サッカーって、実際にやる人が出てくるまではだいたいシンプルなんだけどね。
で、結局この試合って何なの?
1カ月前にこのカードが組まれていたら、プレビューは簡単だった。
最下位対中位。
スフィーダが勝つべき。
以上。
ところが今、直近の調子がいいのはVONDSのほうだ。
シーズンの大半を「もう無理では?」という位置で過ごしていたチームが、本気で残留争いの中へ戻ろうとしている。
一方のスフィーダ。
2位名古屋を倒した。
その次に、ホームで11位日体大に負けた。
ここからまともな予想を作ってみてください。
理屈で言えば、戦力ではまだスフィーダが上だ。内田と堀江には実績ある得点力がある。大塚はゴール前でどれだけの仕事ができるかをすでに見せている。そして今季、一度VONDSを2-0で倒している。
でもサッカーは、相手の昔のバージョンと戦うスポーツじゃない。
土曜日のVONDSは、この1カ月でかなり危険なものを手に入れた。
「勝てる」という感覚。
3連勝すると、プロのサッカー選手でも14連敗していたことを一時的に忘れられるらしい。
スフィーダには、そろそろ思い出させてほしい。
こっちはようやく、「このシーズン、最後はちょっと気持ちよく終われるかも」と思い始めてたんだからさ。
返してほしい。
十四敗
三勝、機械獣起動
電源切って


