先週末、スフィーダ世田谷がサッカーの試合に勝った。
助かる。
勝点3は、まあ普通に欲しい。それだけじゃない。相手はなでしこリーグ1部の最下位、VONDS市原だった。開始1分、田口真彩のゴール。あの一撃は、千葉でのちょっと面倒な午後を勝利に変えただけじゃない。見たくない順位表の下のほうから、スフィーダをもう一歩遠ざけてくれた。
降格の可能性が数学的にゼロになったわけじゃない。
でも、もう四六時中それを考えなくてもいい。
となると、次に出てくるのはもう少し楽しい問いだ。
スフィーダ、そろそろ上を見てもいいんじゃない?
アウェイのスフィーダ、そのまま家に連れてきて
今季のスフィーダ世田谷、どうも2チームいる。
ひとつは白いユニフォームで日本中を回り、相手にちゃんと嫌な思いをさせるチーム。
もうひとつは、ホームで戦うスフィーダ。
日曜日のAGFフィールドで会いたいのは、できれば前者です。
今季のスフィーダはアウェイで4勝。そこには朝日インテック・ラブリッジ名古屋を2-0で倒した最高の勝利もあれば、先週末のVONDS戦みたいに、華やかさはなくても同じくらい大事な1-0もある。
一方、ホームでは2勝。
ホームのリーグ戦9試合のうち、6試合で負けている。
なかなか不思議じゃん。少なくともサポーターが何か悪いことをしたとは思えない。
日体大SMG横浜戦は、その謎をきれいに凝縮したような試合だった。2位の名古屋をアウェイで2-0撃破。その勢いで、自分たちより下の順位にいた相手をホームに迎えた。
そして49分には0-3。
どうやら世田谷では「安定感」はちょっとダサいものらしい。
日曜日あたり、その考えを変えてくれていい。
困ったことに、オルカ鴨川はかなり強い
オルカ鴨川FCは勝点32の3位。しかも、リーグ屈指の守備力を持って世田谷にやってくる。
ここまでのリーグ戦で許したゴールは、わずか14。
対するスフィーダは28得点。
そのうち22点を、たった2人で取っている。
内田美鈴が13得点。堀江美月が9得点。
はい。だいたい話が見えてきた。
オルカの仕事はシンプルだ。スフィーダで最も危険な2人に、日曜の午後を自分たち専用のシュート練習にさせないこと。
スフィーダの仕事も分かりやすい。2026年の大半を「そう簡単には通しません」で過ごしてきた守備を、どうにかこじ開けること。
ただ、希望はある。
オルカが最後に消化したリーグ戦も、相手はVONDS市原だった。
結果は0-2。
その6日後、スフィーダは同じ場所へ行って1-0で勝った。
残念ながら、サッカーに数学の推移律はない。もしあったなら「つまりスフィーダはオルカより3点くらい強い」と宣言して、もう日本酒を開けて、日曜日は温泉にでも浸かっていられる。
現実はそんなに優しくない。
でも、この2チームがちょっと妙なタイミングでぶつかることは確かだ。
オルカはリーグ4連勝のあと、首位・静岡SSUボニータと引き分け、続くVONDS戦で敗れた。その後に予定されていた名古屋戦は延期。
トップ2へ猛然と迫っていたチームが、急に待ち時間へ入った。
一方のスフィーダは、負け、勝ち、負け、勝ち。
片方は勢いが止まった。
もう片方は、自分がどんなチームなのかまだ決めかねている。
結局、内田美鈴がいちばん分かりやすい脅威
スフィーダのプレビューを書いていると、最終的にこの一文へたどり着ける安心感がある。
内田美鈴、また決めるかもしれない。
もう13回やってるし。
名古屋戦でも決めた。日体大戦でも決めた。今季前半、ホームで名古屋に2-3で敗れた試合では2ゴール。
その隣では、堀江が9得点。
2人を合わせれば、今季スフィーダがリーグで奪った全ゴールのほぼ8割になる。
頼もしい。
そして、ちょっと怖い。
オルカだって、どこから危険が来るかは分かっている。ここに複雑なトリックはない。
月東優季乃を中心としたオルカ守備陣は、それを止めればいい。
だからこそ、堀江の役割が面白い。センターバックを引きつけ、最初の競り合いを制し、その周囲にスペースを作れれば、内田が飛び込める場所が生まれる。
逆にオルカが2人を孤立させ、スフィーダに別ルートから攻めさせることができれば、一気に難しくなる。
まあ、今週くらい別の誰かが決めてくれてもいいんだけどね。
占部美月が帰ってくる
この試合には、もうひとついいストーリーがある。
占部美月は、スフィーダをよく知っている。
早稲田大学へ進む前、そしてオルカ鴨川へ加入する前、彼女はスフィーダ世田谷の育成組織で成長した。
そして今度は、相手のユニフォームを着て帰ってくる。
占部は、自分を繊細で優雅なタイプの選手として売り込んだことはない。オルカ加入時に語った自身の武器も、テクニックの華麗さというより、情熱と泥臭さだった。
だから、スフィーダのエネルギッシュな右サイドと同じレーンでぶつかる展開になったら、かなり面白い。
再会といえば、花束を渡すこともある。
今回の再会は、ショルダーチャージかもしれない。
過去の対戦成績?見なかったことにしたい
ひとつだけ、できれば削除ボタンを押したい数字がある。
スフィーダは、オルカとの直近7試合で勝っていない。
4分け、3敗。
最後に勝ったのは2022年10月。4-2。
……もうだいぶ昔の話だ。
時間があれば、上の動画で試合を丸ごと見返せます。
とはいえ、通算成績は驚くほど互角。19試合で両チーム6勝ずつ、そして7分け。
ただし最近に限れば、流れは明確にオルカ側だ。
5月の前回対戦もオルカが1-0で勝利。決勝点は78分だった。
だから日曜日は、今のスフィーダが実際どの位置にいるのかを見る、もうひとつのテストなのかもしれない。
残留を懸けた直接対決じゃない。
必死に生き残るための90分でもない。
絶対に勝たなきゃいけない試合ですらない。
もっと面白い。
リーグ上位の基準を作っているチームを、ホームで倒せるか。
そんな試合だ。
もう、上を見てもいい
それが、先週末の勝利で手に入れたちょっとした贅沢だ。
VONDS戦は美しくなかった。
開始1分の田口のゴールを守り続け、89分には増田紗美亜のシュートがポストを叩いた。
いい。
勝点3、いただきます。
濱田監督はこれまでも、「勝った」という結果だけで、それまでやってきたすべてが正しかったことにはならないという姿勢を崩していない。
名古屋を倒したあとも、勝利を理由に「これまで全部正解でした」と考えてはいけないと警戒していた。
その考え方は、今こそ大事になる。
だって最近のスフィーダ、見たいものによって全然違うチームに見えるじゃん。
アウェイで名古屋に勝てる。
ホームで日体大に負ける。
VONDS相手に、きれいじゃなくても勝ち切れる。
リーグ屈指のゴールスコアラーがいる。10代ながらペナルティーエリアを支配できるGKがいる。チャンスを待つ興味深い新戦力もいる。そして監督は、まだチームの形を探り続けている。
そこへ、オルカ鴨川がやってくる。
リーグ3位。
失点14。
そしてスフィーダ戦、7試合無敗。
いいじゃん。
ゴジラ級の相手なら、真正面からやってみればいい。
9月のほとんどは、どうしても下を見たくなった。
日曜日くらい、90分ずっと逆方向を見てみよう。



