今、スフィーダ世田谷のサポーターでいるのって、かなり楽しいじゃん。
合併の話はひとまず置いておこう。
不安もいったん忘れたい。
FC東京だの、ライセンスだの、ブランディングだの、育成ルートだの、施設だの。
フットボールの偉い人たちが大好きな言葉は、今週だけは横に置いておこう。
だって先週末、スフィーダは首位のホームに乗り込んで勝ったんだから。
ギリギリじゃない。
ラッキーでもない。
ちゃんと勝った。
静岡SSUボニータはホーム無敗だった。
開幕戦ではスフィーダを6-1で叩きのめし、なでしこリーグ首位に立っていたチームだ。
でも、その相手からスフィーダは勝点3を持ち帰った。
フットボールって本当に面白い。
ある週は「なんでここで勝点落とすんだよ」と頭を抱える。
次の週にはリーグで一番難しいアウェイに乗り込んで、順位表のほうが間違ってるんじゃないかと思わせる試合を見せてくれる。
正直さ。
スフィーダ、8位のチームじゃないと思うんだよね。
証拠が欲しい?
名前を挙げればいい。
私にそう思わせる選手たち
大塚美緒。
止める。
とにかく止める。
相手FWが「これは決まった」と思った瞬間、その考えを全力で否定してくるタイプのGKだ。
ボニータ戦なんてほぼ立入禁止区域だった。
19歳。
180cm。
慌てない。
騒がない。
ただ止める。
また止める。
そして、もう一回止める。
次は渡辺菜々。
私のお気に入りの選手。
そこは謝らない。
菜々の守備を見てると、みんなが問題文を読んでる間に答えを出してしまう人を見ている気分になる。
危険が来る。
菜々が処理する。
危険が消える。
それだけ。
派手さはない。
余計なこともしない。
SNSでバズるようなプレー集はないかもしれない。
でも90分見ればわかる。
ボールがあってもなくても、ずっと質が高い。
以前、彼女を「セルヒオ・ラモス70%、フィルジル・ファン・ダイク20%、そして日本的な戦術理解10%」と表現したことがある。
でも先週の試合を見たあとだと、ちょっと控えめに言いすぎたかもしれない。
そして堀江瑞稀。
ゴール。
とにかくゴール。
途中出場からのゴール。
カオスからのゴール。
何も起きてないなと思った次の瞬間に起きるゴール。
そして内田水鈴。
リーグ通算200試合出場。
今季10ゴール。
リーグ得点ランキング首位タイ。
今季のハリマ戦では同点ゴールを決め、その後は首位撃破にも貢献した。
ちなみに元ハリマの選手でもある。
なかなか濃い数週間じゃん。
部屋の中にいるワールドカップという象
もちろん、別のフットボール大会も開催されている。
どうやら結構大きな大会らしい。
FIFAワールドカップっていうらしい。
たぶん聞いたことあるでしょ。
興味はある。
見るつもりだ。
地球上最大の大会を無視して通ぶってるサッカーヒップスターではない。
でも今週末、どっちに感情移入してるかと聞かれたら?
スフィーダ。
毎回そう。
イングランド男子代表を応援していて、心の底から報われた気持ちになったことは正直あまりない。
その点、イングランド女子代表はちゃんとタイトルを獲っている。
基準が違う。
一方で男子代表は、普段は私が好きでもないプレミアリーグのクラブでプレーしている選手たちが、6月になると急に無条件の応援を求めてくる感じがする。
リーズサポーターとしては、そもそも代表に呼ばれる選手も少ないしね。
だから世界中がイングランド代表について語っている週末でも、私は世田谷の女子サッカーを見るために目覚ましをセットしている。
そのせいで後のワールドカップ観戦が少し眠くなったとしても構わない。
ワールドカップよりスフィーダ。
毎日そう。
どうにも掴みきれないハリマというチーム
ハリマは悪くない状態で東京にやってくる。
直近2試合連続勝利。
一応ね。
ただ、その最新の勝利はVONDS市原戦だった。
VONDSには申し訳ないけど、今のところVONDSにはみんな勝ってる。
12試合。
12敗。
これは戦績じゃない。
お知らせだ。
なんか昔のビリヤードを思い出すんだよね。
昔よく一緒に撞いていた友人がいた。
その人、黒玉を入れちゃいけないタイミングで入れる才能だけは本当にすごかった。
結局ビリヤードやめちゃったけど。
毎週。
毎試合。
お互い上手くなかった。
でも私は勝つ。
向こうが勝手に黒玉を落としてくれるから。
だから勝っても全然嬉しくなかった。
ルール上は勝ち。
でも一番微妙な勝ち方。
今のVONDS戦って、だいたいそんな感じ。
行けば勝つ。
もし勝てなかったら?
正直、そのケースのデータが存在するのかも分からない。
ハリマのもう一つの勝利は横浜シーガルズ戦。
こっちは確かに評価できる。
シーガルズは良い日と悪い日の差が激しいチームだけど、それでもVONDS戦よりはずっと価値がある。
でも怖いかと言われると?
そこまでではないかな。
選手たちはもちろん真剣に向き合うべきだ。
私はそうしない権利を持っている。
不思議で、ちょっと素敵なフットボールクラブ
この試合が好きな理由の一つは、スフィーダが現代サッカーとどれだけ違う存在なのかを思い出させてくれることだ。
この試合の冠スポンサーはサミット。
もちろん胸スポンサーでもある。
地元のスーパー。
サミット GO GREEN MATCH。
そして何より面白いのは、選手の何人かが本当にサミットで働いていること。
ちょっと考えてみてほしい。
土曜日にルーズボールへ飛び込んでいる選手が、水曜日には買い物客の対応をしているかもしれない。
トップレベルのサッカーは長い時間をかけて選手とサポーターの距離を作ってきた。
VIP入口。
企業ラウンジ。
関係者だけの世界。
でもスフィーダは逆なんだよね。
距離がほとんどない。
それって今ではかなり珍しい。
そして、ものすごく価値がある。
私はイングランドにいる。
世田谷から何千キロも離れている。
それでも、このクラブのほうがワールドカップより近く感じる。
スタジアムの外では「SFIDA Street」が開催される。
キッチンカー。
地域のお店。
コミュニティイベント。
そして世田谷のRIOT BEERが造るSFIDAビール。
チケット1枚につき33円が、deleteCを通じてがん研究支援に寄付される。
たぶんサミットがやりたいことは、地域とのつながりを深めながら持続可能な活動を支援することなんだと思う。
少なくとも私はそう理解している。
もし完全に勘違いしていたら、Xで教えてください。
駒沢で過ごす最後の午後
駒沢は完璧なスタジアムじゃない。
だから好きなんだ。
サッカーしかないから。
ハリセンの乾いた音。
陸上トラックを越えて届く声。
ベンチの指示まで聞こえてきそうな距離感。
現代サッカーがどこかで忘れてしまったスタジアム。
土曜日がスフィーダ最後の試合ではない。
でも、今のスフィーダ世田谷として駒沢で戦う最後のリーグ戦になる。
独立と統合のあいだ。
不安と野心のあいだ。
順位表の8位と、その順位以上の実力のあいだ。
そして今。
流れは悪くない。
3試合負けなし。
少しずつ空気も変わってきている。
だから私は期待している。
結構、本気で。
頼むから、この文章をあとで黒歴史にしないでほしいじゃん。
