6時のイングランド、宮崎は29度。それでもまた、スフィーダ世田谷FCを見てた。

日曜の朝。
また6時キックオフ。
またコーヒー淹れてる。イングランド全体がまだ“読み込み中”みたいな空気の中で。

「6時ならギリいけるじゃん」

そう思ってた。キックオフ前までは。

相手はヴィアマテラス宮崎。リーグ2位。
しかも気温29度。完全に南国。
観客1,170人。首位・静岡SSUボニータが勝点を落としたタイミングで、タイトルレースを一気に縮めたい空気がスタジアム中に漂ってた。

一方のスフィーダは9位。

“安定感がない”のか、“なかなか死なない”のか、まだよく分からないチーム。

正直、ボコボコにされると思ってた。

エモい感じじゃなくて、本当に。
6時18分には壁見ながら「なんで自分の睡眠を犠牲にしてまでこれ見てるんだ…」ってなるタイプのやつ。

でも、サッカーって思った通りに動かない。

だからまた戻ってきちゃう。
朝6時でも。

宮崎、音がデカい。ずっとデカい。

まず驚いたのは応援だった。

最初から全開。
様子見なし。
コンビニコーヒー飲み終わるの待つ感じもない。

ドラム。リズム。圧。
ずっと鳴ってる。

しかも宮崎のネオンみたいなユニフォームがまた強烈だった。
スフィーダの白と並ぶと、なんか未来都市の企業戦争みたいだったんだよな。

試合が始まると、宮崎はとにかく“強そう”だった。

派手じゃない。
でも怖い。

ボール回しが異様に正確。
Canonの業務用プリンターみたいに、全部のパスがズレない。
速い。迷わない。止まらない。

坂本莉歩のミドルで早速セーブを強いられて、そこから完全に宮崎ペース。

5分くらいの場面が、このチーム全部を表してた。

DFのパスが少し長くなった。普通ならスローイン。終わり。
でも宮崎は違う。

ウイングが体折り曲げながら全力で追いついて、ライン際で無理やり残した瞬間、もう次の攻撃始まってた。

止まらない。

宮崎道の夜みたいだった。
えびのICから清武JCTまで、ヘッドライトが山を縫って走っていく感じ。100km/h出てるのに全部噛み合ってる。

荒れてるのに、整理されてる。

スフィーダ、最初かなり飲まれてた。

7分くらいまで、まともにボール持ててなかった気がする。

でも、そこで不思議なことが起きる。

スフィーダ、耐え始める

急に試合が落ち着いた。

綺麗ではない。
でも、ちゃんと落ち着いた。

宮崎は押してる。
でもスフィーダがセカンド回収し始める。コース切り始める。試合を少しずつ“嫌な形”に変えていく。

濱田貴司監督も試合後にこう話していた。

「前進力が強みの宮崎に対して、コンパクトに、全員で戦う意識で入りました」

これがかなり効いてた。

宮崎、崩し切る直前までは本当に怖い。
でも最後の一本だけズレる。

誰も飛び込んでない。
シュートが外れる。
ラストパスだけ合わない。

一方スフィーダの攻撃は、説明書なしでIKEA組み立ててる感じ。

形になりそうで、ならない。

それでも光はあった。

佐藤里菜の中盤。
後半流れを変えた島田彩也加。
そして渡辺奈々。

後ろで一番落ち着いてた。
試合が熱湯みたいになりかけても、一回ボールを冷ます。

あと坂本莉歩。

29度で長袖。

意味が分からない。

全員溶けそうなのに、一人だけ雪まつり帰りみたいな格好してる。完全にキングギドラ級の耐熱性能。人類側の装備じゃない。♨️

でも本当に良い選手だった。

守る。運ぶ。中盤に出てくる。ファウルもらう。
全部やる。

24分くらいのクーリングブレイクあたりで、試合の空気が変になっていった。

宮崎がゲームを支配してる。
でも感情の温度はスフィーダが握ってる。

0-0が長引くほど、スタジアム全体が妙にザワつく。

しかも周辺環境がまた日本っぽかった。

スタジアム横に綺麗な住宅街。
隣に別のスポーツ施設。
さらに別の試合までやってる。

The Simsの拡張パック3個重ねたみたいな配置なのに、不思議と成立してる。

日本だけなんだよな。こういうの。

あとドラム。

一人めちゃくちゃ上手い人いた。
間のフィルが完全にライブハウス。

Smoke on the Water入ってた気がしたし、たぶん日本のパンクも混ざってた。

そのあと牛のカウベル入ってきた。

あれはダメ。

55分。流れが変わる。

スフィーダ、ついにちゃんと崩した。

右からNo.16が運んで、No.8へ。
宮崎の守備が割れる。

そして中央へ。

内田瑞稀。

外した。

結構しっかり外した。

今季9ゴール。
ほぼ怪獣みたいな決定力だった選手が、あれを外す。

でも逆に、その瞬間思った。

「あ、これ勝点取れるかも」

サッカーって、決めきれないと急に流れ変わるじゃん。

それでも宮崎は押し続けた。

パスは綺麗。
交代も効く。
島田彩也加が入ってから、ワンタッチで一気にテンポが上がった。

そして72分。

CK。
混戦。
クロスバー。
こぼれ球。

土屋結月。

1-0。

まあ、妥当だったと思う。

でも、その後がすごかった。

6人で飛び込むゴールセレブレーション。
そのあとドラゴンボールのフュージョンポーズ。

暑さでテンション壊れてる。

イングランドのソファで、冷めたコーヒー飲みながら見てた自分は、「あー終わったかもな」って思った。

でも3分後。

全部変わる。

堀江瑞稀。流れを曲げる。

篠原紗代が中盤を運ぶ。

石浦和香のターンが完全にジダン。
そこから自然に流れて、最後は堀江瑞稀。

冷静すぎるフィニッシュ。

1-1。

今季6点目。

そこから試合の“形”が一気に反転した。

宮崎が焦り始める。
スフィーダが怖くなる。

大塚実緒も凄かった。

ほぼ未来系アニメGK。

何回もボックス外まで飛び出して、ロングボール潰してた。
一回、風の中でヘディング処理した場面とか、本当に危なかった。

生き急いでる。

86分には内田がポスト。

あれで魂ちょっと抜けた。

終盤、むしろ勝ちそうだったのはスフィーダ。

宮崎は疲労で判断が荒くなる。
No.24が坂本へ出せば決定機なのに、自分で打って止められる場面もあった。

焦り。

逆にスフィーダはどんどん前へ出る。

追加時間、両チームとも引き分け守る気ゼロ。

殴り合い。

そして最後、宮崎のシュートが数ミリ外れる。

数ミリ。

朝6時52分。
日本酒欲しくなった。

でも試合終了。

1-1。

なんか、それが一番しっくりきた。

終わってみれば

宮崎は本当に強かった。

整理されてる。
走れる。
圧が消えない。

タイトル狙う理由、よく分かる。

でもスフィーダも見せた。

我慢。
修正。
粘り。

ただ耐えてる中位チームの試合じゃなかった。

少しずつ、自分たちを取り戻してる感じ。

試合後、宮崎の佐藤孝紀監督はこう話していた。

「相手を意識しすぎて、少し守備的になってしまった」

たぶん、それがこの試合の不思議さだった。

スフィーダ、最後まで立ってたんだよな。

ボロボロでも、少し笑いながら。

そしてイングランドの朝6時。
冷めたコーヒー。
壊れた睡眠。

でも、悪くなかったじゃん。  

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