岡山アウェイ、冷めたコーヒー、そして八方塞がりな気分

SFIDA Setagaya

先週のことなのに、もうずいぶん昔の話みたいだ。

この記事を書こうとして、まず思い出さなければならなかった。

スフィーダ世田谷がASハリマアルビオンと2-2で引き分けたことを。

たぶん、それだけでも何かを物語っている。

あの2ゴールはあまりにも遅く、あまりにも一瞬だった。

そのせいで、それまでの90分近くが全部かき消されてしまった気がする。

駒沢での午後は、ほとんどの時間が穏やかだった。

最高の試合ではなかった。

歴史に残る試合でもなかった。

でも、スフィーダがしっかり主導権を握り、「このまま終わるだろうな」と誰もが思っていた、そんな午後だった。

ところがハリマが1点。

そして、もう1点。

気づけば心地よいお別れムードは、悔しさの残る引き分けへと変わっていた。

それでも正直に言えば、スフィーダの内容は悪くなかったと思う。

ハリマは勝点1を兵庫へ持ち帰ったけれど、大半の時間はそれほど多くを生み出せていなかった。

サッカーって時々、メカゴジラみたいなんだよね。

せっかく積み上げた物語を、理由もなく踏み潰していく。

ただ「できるから」って感じで。

でもさ。

新しい週が来れば、新しい問題もやってくる。

今度の日曜日はイギリス時間で朝6時キックオフ。

たぶん今回も、コーヒーが一番頑張ることになる。

そして向かう先は……

岡山湯郷Belle。

早口で5回言ってみて。

自分は無理だった。

ちょっと厄介な現実

この試合、順位表が妙に役に立たない。

岡山は6位で勝点20。

スフィーダは7位で勝点16。

スフィーダが勝っても追い抜けない。

差はまだ1ポイント残る。

そう考えることもできる。

でも本当に怖いのは、勝てなかった場合だ。

愛媛FCレディースは同勝点。

ニッパツ横浜FCシーガルズはわずか1ポイント差。

ハリマもすぐ近くにいる。

週末がひとつ噛み合わなかっただけで、上を見る立場から後ろを気にする立場へ変わってしまう。

頭に浮かぶのは「八方塞がり」という言葉だ。

どこへ進んでも壁。

勝っても大きく前進できない。

負ければ後ろから追いつかれる。

引き分けなら「もったいなかったね」がまた一週間続く。

熱心な人から延々と暗号資産の話を聞かされながらエレベーターに閉じ込められる感じ。

そんなサッカーである。

また5-0になるのか?

岡山にとって少し嫌なのは、今季序盤の対戦だ。

スフィーダは岡山を5-0で粉砕した。

1-0じゃない。

不運な敗戦でもない。

5-0。

過去3試合の合計スコアは9-3。

スフィーダが圧倒している。

岡山の選手たちも、その事実を忘れてはいないはずだ。

ただ、サッカーは過去を平気で裏切る。

3月の岡山は脆かった。

でも今は違う。

直近2連勝。

2試合で6ゴール。

三光光利監督……ではなく、和田光利監督のチームは必要な場面でよりダイレクトになり、以前よりずっと危険なチームになった。

勢いって不思議だ。

みんな数字で説明したがる。

でも結局は単純で。

勝っているかどうかだったりする。

行ってみたくなる場所

このリーグを追いかけていて好きなのは、海外サポーターならまず知らない土地に出会えることだ。

岡山県にはいくつか有名なものがある。

ひとつは晴れ。

ひとつは果物。

そしてもうひとつはデニム。

「くだもの王国おかやま」として全国に知られ、桃やぶどうは美術品みたいに大切に扱われている。

さらに、日本最高峰のデニム産地のひとつでもある。

つまり今週末の試合は、

果物とジーンズで有名な県で行われる。

先週はハイプレスや守備のトランジションを語っていた。

今週は高級デニムについて調べている。

サッカーを追いかけていると、たまにこうなる。

フォームガイド:勢いと記憶、そして焦り

岡山湯郷Belleには確かな勢いがある。

少し前までは完全に停滞していた。

3連敗。

無得点。

試合を重ねるごとに自信も削られていた。

そこで和田監督は方向転換を決断した。

丁寧なビルドアップ一辺倒ではなく、必要ならロングボールも使う。

理想論を少し脇に置いた。

サッカーは結果で評価される。

そして結果は出た。

シーガルズを4-1で撃破。

続いてVONDS市原を敵地で2-0。

2試合で6得点1失点。

脆かったチームが、再び危険なチームへ変わった。

一方のスフィーダは違う感情を抱えている。

首位・静岡SSUボニータ撃破。

今でも今季最高の結果のひとつだと思う。

誰もがボニータの優勝ロードを想像していた。

なのにスフィーダは首位の本拠地へ乗り込み、勝点3を持ち帰った。

そしてハリマ戦。

駒沢での最後の独立クラブとしてのリーグ戦。

別れ。

スピーチ。

懐かしさ。

期待。

そこにサッカーが割り込んできた。

2-0。

そこから2-2。

アディショナルタイム。

空気は一変した。

お祝いムードの途中で誰かが電気を消してしまったみたいだった。

サッカーは脚本通りに動く義務なんてない。

無敗は続いている。

悔しさも続いている。

だから今節は面白い。

ひとつは自分たちを取り戻したと思っているチーム。

もうひとつは、苦い90分が全てではないと証明したいチーム。

注目選手:岡山湯郷Belle

塩谷瑠南 〜 再発見されたストライカー

今季、彼女ほど不思議なシーズンを送っている選手も少ない。

左SB。

CB。

FW。

次から次へとポジションが変わる。

普通ならひとつ極めるだけで大変だ。

でも塩谷は全部やってしまう。

そして前線へ戻った今、輝いている。

動きは鋭い。

自信もある。

フィニッシュは容赦ない。

2試合連続2ゴール。

一気にリーグ屈指の危険なアタッカーになった。

100試合出場の直後というのも、なんだかサッカーらしい。

でも一番すごいのはゴールじゃない。

適応力だ。

遠回りになっても、彼女はちゃんと別の道を見つける。

上野理紗 〜 最後の砦

GKの物語は突然始まる。

控えだった選手が、気づけばクラブの期待を背負っている。

上野理紗の台頭もそんな感じだ。

19歳。

名古屋戦でリーグデビュー。

そして驚くほど落ち着いていた。

VONDS戦でのクリーンシートは、ただ止めただけじゃない。

「あ、このレベルにいるべき選手だ」

そう思わせた。

若いGKは才能を感じさせることが多い。

本当に特別なGKは落ち着いて見える。

シーズン序盤の5-0を返したい。

そう語った彼女のコメントも印象的だった。

選手は覚えている。

サッカー選手は、だいたい全部覚えている。

注目選手:スフィーダ世田谷FC

内田瑞穂 〜 チームの鼓動

数字以上の存在感を持つ選手がいる。

内田瑞穂は数字も持っている。

リーグ10得点。

通算200試合出場。

ボニータ戦でゴール。

ハリマ戦でもゴール。

必要な時に、いつもそこにいる。

32歳。

それでも今がキャリア最高レベルかもしれない。

内田を見ていて思うのは、焦りがないことだ。

周りより少しだけ時間がゆっくり流れているように見える。

DFより先に危険を察知し、誰も気づいていないスペースへ入っていく。

優れたFWを語る時、人は決定力を語る。

本当の才能はタイミングだ。

内田はそれを持っている。

堀江瑞稀 〜 問題を生み出す人

もう彼女をどう表現すればいいのかわからない。

毎週、新しい問題を相手に押し付けている。

174cm。

それだけで試合の形が変わる。

ロングボールが武器になる。

クロスが脅威になる。

DFはボールじゃなく、堀江の位置を気にし始める。

それだけでスペースが生まれる。

今季の岡山戦2ゴール。

ボニータ戦の決勝ゴール。

全部偶然じゃない。

得点だけでは語れない選手だ。

ゴールを決めるFWは多い。

堀江は守備組織そのものを動かしてしまう。

大塚美緒 〜 未来が少し早く来た

若いGKを見ていて、

「この選手、いつまでこのリーグにいるんだろう」

と思うことがある。

大塚美緒はそんな選手になりつつある。

180cm。

ティーンエイジャーとは思えない存在感。

ボニータ戦では19本のシュートを浴びた。

19本。

普通ならどこかで崩れる。

でも彼女は逆だった。

時間が経つほど強くなった。

止める。

また止める。

また止める。

最後は首位チームの方がイライラしていた。

GKは安心感を与える存在だ。

大塚は安心感と希望を与えている。

両方を持つ選手は多くない。

それでもスフィーダを信じる理由

理由はシンプルだ。

内田瑞穂と堀江瑞稀。

このコンビはリーグでも屈指。

内田は得点ランキング上位。

堀江は存在するだけで混乱を生む。

相手DFを楽にしてくれない。

そして大塚美緒。

今季は何度も感じた。

GKというより緊急出動部隊みたいだ。

何か起きる。

すると大塚がいる。

気になるのはメンタル面だ。

FC東京との統合。

将来への不安。

現体制で戦う残り少ない試合。

ずっと背負ってきた。

疲れるに決まっている。

サッカーは身体だけじゃない。

見えない荷物を抱え続ける競技でもある。

予想

5-0みたいな試合にはならないと思う。

岡山は強くなった。

自信もある。

よりダイレクトになった。

危険度も増した。

秋元美優の回復へ向けた戦いも、チーム全体のモチベーションになっている。

それでもスフィーダは相性が悪くない。

ハイプレスは効く。

前線は危険だ。

引き分けが続いていても、簡単には負けない。

だから予想は、

岡山湯郷Belle 1-2 スフィーダ世田谷FC。

たぶんまた日曜の朝。

常識的な人たちが寝ている時間に、自分はリビングをうろうろしながら試合を見ることになる。

もっと楽な趣味もある。

もっと健康的な趣味もある。

でもこの趣味には、

朝6時のアラームと、

日本の果物王国で行われるサッカーを本気で心配する時間がついてくるんだよね。

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